働き方のスタイルを男性モデルから女性モデルに切り替えるという視点である。男女の性役割にしたがって男性中心に組み立てられた労働のスタイルは、雇用における男女の区別(=差別)を構造的なものとし、女性たちを排除し、その力を制約し続けることを可能にしてきた。しかし、それは同時に男性に対する差別をももたらした。ジェンダーの視点は、長時間労働を許容する労働の枠組みそれ自体が、男性であるがゆえに家族との生活など人権の保障には配慮しなくてもよいとする男性差別を内包するものであることを指摘し、その枠組みを構造的に変えることなくして労働時間短縮はあり得ないことを提起してきた。
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男女間の賃金格差と男性の長時間労働は同じコインの裏と表の問題であったのに、労働運動の本体がこの問題提起を真正面から受け止め、構造改革に着手することはなかった。そのために、日本の労働市場は、市場原理主義によって、所得と仕事の深刻な二極分化に直面したといってもよい。