おざなりにした引き継ぎ業務

2011.11.25

IT業界A社にマーケティングエンジニアとして勤めてきたEさんは、A社のオフィスが郊外に移転し、通勤時間が長くなったのを機に転職先を探し始めた。ちょうどタイミングよく求人があったのが、A社の売り上げを抜いて注目を浴びている同業のB社だった。B社ならばEさん自身よく知っているし、通勤も問題ない。加えてマーケティング課長候補という待遇はむしろA社よりもよいかも知れないという、Eさんにとってはまたとないチャンスだった。

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B社の方でも業界知識のあるEさんは願ってもない応募者で、お互いに相思相愛のまま、瞬く間に内定の運びになった。成長株のB社への転職が決まったEさんは、すっかり自信をつけてしまい、まるで天下を取ったような気分になってしまったようである。A社の人事にB社に内定したことを告げるとすぐにでも退職したいと申し出た。しかしすでに七年以上A社で勤務し、管理職ではないもののマーケティング部門の中心的な存在であるEさんの穴を埋めるのは、A社にとっても大変なことである。Eさんは何とかあと二ヵ月留まって引き継ぎ業務をして欲しいと頼まれることになった。本当のところ、転職先のB社からは二ヵ月以内に入社してもらえれば問題ない、ということで話はついていたので、A社の申し出をそのまま受けることも出来た。だが、すっかり強気になっていたEさんは、どうせ辞めてしまう会社に尽くしても意味がないと思い。「法律上は申し出てから、二週間で退職出来るはずです」と、突っぱねてしまった。その後二週間ほどは出社して退職の手続きをしたが、引き継ぎの業務はおざなりのまま、有給消化の名目で三週間もの長期海外旅行に出かけたのだった。





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